Kis-My-Ft2といえば、バッキバキの筋肉と、ゴリゴリのダンスがセールスポイント。7人のバランスは、フロントメンバーでイケメン担当の北山宏光と藤ヶ谷太輔と玉森裕太、後部で派生ユニット・舞祭組としても活動する宮田俊哉と千賀健永と二階堂高嗣と横尾渉で保たれている。

 各々のキャラクターがしっかり立っているのは、長いジャニーズJr.時代を経て、苦労の末にようやくつかんだメジャーデビューという下地があるから。TOKIOのように島を開墾しなくとも、NEWS・手越祐也のように海外ロケで全裸にならなくとも、彼らはバラエティスキルを身に付けている。礎を築いたのは、テレビ朝日。“調教師”はよゐこ・濱口優だ。

 キスマイが、テレ朝の『いきなり!黄金伝説。』で数々の伝説を生んだ濱口から、バラエティのいろはを学ぶために初の冠レギュラー番組『濱キス』を抱えたのは、CDデビュー翌12年。以降、『キス濱ラーニング』のシリーズほか、何度もコンセプトを変え、改題を重ねながら、現在の芸人枠は濱口からサンドウィッチマンにバトンタッチ。サンドは、濱口のように現場でキスマイと一緒に汗を流すことはせず、完成した検証ロケの映像をスタジオでモニタリングする立場にいる。それが現在、火曜日深夜に放映されている『10万円でできるかな』だ。

 10万円の軍資金でどこまでできるか、明快すぎるコンセプトである。しかし、これが意外にも、手に汗握る熱戦が相次ぐから不思議だ。

 「10万円分宝くじ買ったら元取れるかな」では、10万円オーバーが不可能だった。しかし、プライベートで試しに購入した玉森が、10万円を当てるミラクルを起こしていた。当然、テレビカメラは回っていない。盛り上げてくれるメンバーも不在。過去のシリーズでも顕著になったが、玉森には、ここぞのときに運をつかむ強さがあるのだ。

 同じく、番組を通じて神を降臨させたのは藤ヶ谷。「10万円クレーンゲームをやったら景品全部取りつくせるかな?」では、初心者の藤ヶ谷が、スタートから連敗のまま3,000円を消費。焦りまくったあとに覚醒させたのは、歌手の本能だった。

 クレーンが動くときに鳴る音によって、網のなかで立てられたお菓子を突き落すことができるのではないかと推測。“ズン”と“チャ”の音を、ボタンを押す拍数、お菓子の位置で表にして、クレーンの移動でコントロール。オリジナルの“ズンチャ表”を制作した。すると、見事なまでにヒット。最終的には、クレーンゲームに背中を向けても落とせるようになった。この神業で、85,200円でクレーン内のお菓子を空っぽにした。

 そんな藤ヶ谷が親友の横尾と組んだ「10万円分の通販お掃除グッズで汚れたままの飲食店を丸ごと1軒ピカピカにできるかな?」が、番組最高視聴率をマーク(ビデオリサーチ調べ/関東地方)。あまたの通販番組でスゴ落ちが自慢のお掃除グッズを購入して、油でベットベトとなった飲食店をたった1日でピッカピカにしてみせた。2人は終始、マスクやタオルで顔の半分が覆われていたが、それでも高視聴率。アイドルとしては心中複雑か。

 そんな『10万円でできるかな』が4月6日の夜23時15分から、初の1時間ワイド版でオンエアされる。ロト6を購入、懸賞ハガキを応募。10万円でどれだけの高額当選を導けるか。PR映像では「大当たりしまくりの1時間」とあるが、結果はいかに!?